スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

失われた世界へ

          第一章 タイムトラベラー                   1    あなたはかつて火星に文明が存在し、そしてちょうどその頃、地球には今と同等か、もしくそれ以上の文明が存在していたと言ったら笑うだろうか?そんなことはあり得ない、と。それとも、いや、そういうことだってあっても可笑しくないと真剣に耳を傾けるだろうか?  恐らく、ほとんど全てのひとが前者だと思う。無理もない。僕だってちょっと前までそんなことを言われたりしたら眉をひそめるか、あるいは笑い飛ばすかしていたと思う。そんなことはあり得ない、と。馬鹿げている、と。しかし、事実は違うのだ。  実を言うと、僕はつい先程五十万年前の地球から現代の地球へ戻ってきたところだ。いや、話が飛躍し過ぎた。話を戻そう。そもそも僕がどうしてかつての火星に文明が存在すると信じるに至ったのか、何故僕が五十万年前の地球へ行くことができたのかについて。これから僕が語ることは誓って真実だ。どうか信じてもらえたらと思う。                    2    順番に話そう。まずは事の発端から。さっきはああ書いたものの、実を言えば僕はどちらかというとオカルト的な話題を好む人間だ。オーパーツだとか、ムー大陸だとか、古代核戦争とか、そういった眉唾的な話。荒唐無稽。超科学的な話。  でも、誤解しないで欲しいのだけれど、べつに僕はそういった話を真剣に信じていたわけではない。 ( 結果的にいくつかのことは真実だったけれど ) もしそういうことが本当だったら面白いな、楽しいな、と、謂わば読み物として、フィクションとして楽しんでいただけである。  そして僕はその日、いつものようにそういったオカルト的な新情報はないかとネットサーフィンをしていた。しかし、ここ連日のようにそういった情報を検索していたせいか、これといって目ぼしい情報を見つけることはできなかった。だいたいは過去に見たことのある記事か、あるいはあまりにもオカルト的に話が飛躍し過ぎた記事ばかりだった。  ふと部屋の時計に目を向けると、時計の針はもう午前の二時を指していた。僕はさすがに眠気を感じた。さて今日はもう眠ってしまおうと僕は思った。でもその次の瞬間、コンピュータースクリーンのなかに気になる文字を僕は見出した。  それは個人...

異世界探索

                            異世界探索            第一章 異世界探知機             1    多分、俺は今異世界、と、思われるところにいる。  何故そう思うのかというと、周囲の空間にはひとっこひとり見当たらないからだ。完全なる無人の世界。更に言えば、車もバイクも何も走っていない。そして悪いことに、さっき、化け物らしきものまで目にしちまった ―――何か髪が長くて、顔のない、巨大な女みたいなやつ―――白いワンピースみたいなのを着ててさ。身長は十五メートルくらいあるんだ。俺の見間違いであってくれればいいんだけどさ―――。  あんな化けも物みたいなのに遭遇するなんて聞いてない。だから、俺は嫌だって言ったんだ。今更ながら久美子に腹が立ってきた。久美子がこの案件を引き受けようって言ったとき、俺は何か嫌な予感がするから嫌だって言った ―――いや、言おうとしんだ―――だけどさ。 でも、金に目がくらんだ久美子は、俺が意見する前に勝手に仕事を引き受けちまった。おかげで、今俺はこんなことになっている。  もし、無事にもとの世界に帰れたら、そのときは覚えておけよ、と、俺は心のなかで久美子に対して握り拳を作った。         2    話は前後するようだけど、久美子っていうのは、俺の妹であり、同僚だ。ふたりで便利屋的ことをやっている。ちょっとした家具の組み立てだったり、あるいはおじいさん、おばあさんのスマホの設定の手伝いだったり、行方不明になってしまった猫探しだったり、なん や かんや。  儲かる儲からないで言ったら、そりゃあ、全然儲からない。兄妹ふたり、どうにかこうにか死なない程度に生きていくのが精一杯だ。というか、最近はそれすら怪しくなってきてて、だから、今、俺はこんなことになってる。  ここ二ヶ月ほどは家賃も滞納していて、ケツに火がついている状態だった。だから、妹 ―――久美子は、金に目が眩んだんだ。胡散臭さ満点の仕事を、俺の意見をよく聞きもしないで引き受けちまったんだ―――いや、そりゃあまあ、はっきり意見しなかった俺もちょっとは悪いんだけどさ。  ぶっちゃけ、確かに、報酬は悪くなかった。もし守備よく問題を解決することができれば、報酬はなんと三百万! と来た。もし仮に問題が...

VIMANA2

    こちらはkindleから既に出版している『VIMANA』の一部を掲載したものになります。         第1章 発掘された謎の遺跡              1    宮崎空港の自動ドアを潜って、今、ひとりの若い女の子が外に出て来た。背中のあたりまで伸ばされた髪の毛は明る過ぎない茶色に染められている。少し細い、綺麗な二重の瞳は、いくらか気が強そうな印象を見るひとに与えるものの、そこには明るく、活発そうな光が宿っている。  顔立ちもまずまず整っている方だ。体型は細身で、余分なものがなにもついていないといった感じがある。身長は百六十五センチで、それは日本人女性の平均身長からすると、やや高い方かもしれない。  装いは長ズボンにポロシャツ一枚といった格好で、オシャレさよりも、動きやすさに重きを置いているといった感じがある。これから旅行にでもいくところなのか、彼女の背中には大きなリュックがあった。  早坂小百合は宮崎空港のロビーから外に出ると、大きく息を吸った。吸い込んだ空気は気のせいか、東京に比べると瑞々しく、澄み渡っている気がする。そして、微かに、海の匂いがした。真夏の太陽の光が、眩しく小百合の目を打つ。小百合は立ち止まると、周囲の景色を見回してみた。空港の駐車場を取り囲むようにして、ヤシの木を彷彿とさせる、背の高い木々が植えられている。まるでハワイに来たみたいだ。小百合は思った。もっとも、まだ小百合は一度もハワイを訪れたことはないのだが。 「気持ちの良い天気ですね」  小百合のあとに続いて、ロビーから出てきた藤島さやかが明るい声で言った。    藤島さやかは小百合が通っている大学のひとつ後輩だ。彼女は目が大きく、表情が楽しそうによく動く。髪の毛の長さはショートボブで、それを明るすぎない茶色に染めていた。体型はすらりとした細身の体型で、背の高さは百五十五センチとやや小柄だった。彼女も動きやすいさを重視した、長ズボンにティシャツ一枚といった格好をしている。さやかの背中にも重そうなリュックがひとつあった。 「ほんとだね」  と、小百合はさやかの方を振り返ると、微笑んで相槌を打った。そして改めて、よくこんな今時の女の子といった感じのする娘が、自分の所属しているオカルト研究会に入ってくれた ものだな 、と、小百合は感心するというよりも不思議に...